「遮熱」と「断熱」はどう違う?

工場倉庫の暑さ対策:基本の話

山田君

工場や倉庫の暑さ対策を検討していると、「遮熱」と「断熱」という言葉をよく目にします。
どちらも“熱を抑える対策”という印象がありますが、役割や効果はまったく異なるものです。

ポイント

この違いを理解せずに対策を進めると、「思ったほど効果が出ない」「投資が無駄になる」といった結果になりかねません。

そもそも「熱」には3つの伝わり方がある

山田君

遮熱と断熱の違いを理解するには、まず「熱の伝わり方」を整理する必要があります。

田中君

一体それはなぜですか?

山田君

熱の移動には、次の3種類があるからです。

  • 輻射熱:太陽や高温物から放射される熱
  • 伝導熱:物体を通して伝わる熱
  • 対流熱:空気や風の流れによって伝わる熱

工場の暑さ対策で重要なのは、このうちどの熱に対処しているかという点です。

遮熱とは?「熱を入れない」対策

山田君

遮熱とは、輻射熱を反射し、建物の中に入れないようにする対策です。

田中君

詳しく教えて下さい。

山田君

工場の場合、屋根や天井が太陽で熱せられ、その熱が室内に向かって放射されることで、室温や体感温度が上昇します。
遮熱はこの仕組みに対して、以下の役割を果たします。

  • 熱を反射する
  • 熱を建物内部に入れない
注意

遮熱は「暑くなってから冷やす」のではなく、暑くなる原因を減らす対策です。

断熱とは|「熱を伝えにくくする」対策

山田君

一方、断熱とは、熱が伝わるスピードを遅くする対策です。

田中君

詳しく教えて下さい。

山田君

断熱材は、熱を反射するのではなく、熱を“通りにくくする”ことで、室内外の温度差を保とうとします。

  • 熱を反射する
  • 熱を建物内部に入れない
田中君

なるほど!

山田君

そのため断熱は、以下の用途に向いています。

  • 冬の寒さ対策
  • 冷暖房効率の維持

遮熱と断熱の決定的な違い

山田君

両者の違いを整理すると、次の表にしてみました。

項目遮熱断熱
対象となる熱輻射熱伝導熱・対流熱
役割熱を反射する熱を伝えにくくする
熱の扱い入れない遅らせる
効果の出方比較的早い環境条件に左右される
夏場対策
冬場対策
田中君

これは僕でも分かりやすいです!

山田君

つまり、以下の考え方が基本になります。

  • 夏の工場の暑さ対策には遮熱
  • 一年を通した温度維持には断熱

工場の暑さ対策で断熱だけでは足りない理由

山田君

工場や倉庫では、以下の特徴があります。

  • 天井が高い
  • 空間が広い
  • 金属屋根が多い
田中君

対策が難しそうですね

山田君

そうなんです。この環境では、断熱材を入れても屋根自体が高温になり続け、結果として室内に熱が放射されます。

ポイント

つまり、断熱はしているのに天井からの暑さは変わらないという状態が起きやすいのです。

なぜ遮熱が工場の暑さ対策に向いているのか?

山田君

遮熱は、屋根や天井が熱を持つ前に対策できる点が大きな特徴です。

  • 天井表面温度の上昇を抑える
  • 室内への輻射熱を減らす
  • 体感温度の改善につながる
田中君

とってもすごいですね!

山田君

そうなんです!工場の暑さの大きな原因である「上からの熱」に直接アプローチできるため、夏場の対策として高い効果が期待できます。

遮熱と断熱は「どちらか」ではなく「組み合わせ」

山田君

重要なのは、遮熱と断熱は対立するものではないという点です。遮熱と断熱でどうすれば良いと思いますか?

田中君
  • 遮熱で熱の侵入を抑え
  • 断熱で温度差を保つ

ですか?

山田君

正解です!この2つを適切に組み合わせることで、より安定した温度環境がつくれます。

ポイント

ただし、工場の暑さ対策を考える場合は、遮熱を優先的に検討すべきというのが実務的な判断になります。


まとめ|違いを知ることが、正しい対策への近道

「遮熱」と「断熱」は、似ているようで役割がまったく異なります。

  • 遮熱:熱を入れない
  • 断熱:熱を伝えにくくする

工場の暑さ対策では、まず輻射熱にどう向き合うかを考えることが重要です。

その上で、現場条件に応じて断熱や間仕切、空調と組み合わせることで、無理のない、効果的な対策につながります。

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